
L型キッチンとは?
まずは、L型キッチンの基本的な定義と特徴について見ていきましょう。
コンロとシンクがL字型に配置されたキッチン
L型キッチンとは、シンク(流し台)が設置されたカウンターと、コンロ(加熱調理器)が設置されたカウンターが直角(90度)に組み合わさった、L字型のレイアウトを持つキッチンのことを指します。
壁に沿ってL字に配置される「壁付けタイプ」や、片方の辺がリビング・ダイニングに面する「対面タイプ」など、設置方法にはいくつかのバリエーションがあります。
作業動線が短く効率的なのが特徴
L型キッチンの最大の特徴は、作業動線の効率性にあります。キッチンでの主な作業拠点である「シンク(洗う)」「コンロ(煮る・焼く)」「冷蔵庫(保存)」の3点を結ぶ動線を「ワークトライアングル」と呼びます。
L型キッチンでは、この3点が近接して配置されやすく、理想的な二等辺三角形に近い形を作りやすいのが特長です。I型キッチン(一直線のキッチン)のように横に長く移動する必要がなく、体の向きを変える(振り返る)だけでシンクとコンロ間を移動できるため、調理中の無駄な動きが減り、効率的に作業を進めることができます。
L型キッチンのレイアウトの種類
L型キッチンは、その設置方法によって大きく「壁付けタイプ」と「対面タイプ」に分けられます。ここでは、それぞれの特徴とメリットをご紹介します。
壁付けタイプ|調理スペースを広く取れる

「壁付けタイプ」は、L型キッチンの2辺とも壁に接するように設置するレイアウトです。日本の住宅でも多く採用されてきたスタンダードなスタイルと言えるでしょう。
「壁付けタイプ」のL型キッチンは、壁面に沿ってキッチンが配置されるため、ダイニングやリビングのスペースを広く確保できるのが大きなメリットです。調理に集中しやすく、壁面を活かして吊戸棚などの収納スペースを豊富に設けることも可能です。
また、油はねや水はねが壁側で収まるため、リビング・ダイニング側への汚れの飛散を最小限に抑えられます。
対面タイプ|家族とコミュニケーションが取りやすい

「対面タイプ」は、L型キッチンの片方の辺(シンク側またはコンロ側)を壁から離し、リビング・ダイニング側に向けて設置するレイアウトです。
「対面タイプ」のL型キッチンは、調理中も家族の顔を見ながら作業ができ、会話を楽しんだり、小さなお子様の様子を見守ったりしやすいのが最大のメリットです。開放感があり、LDK空間に一体感をもたらします。
また、カウンターを設ければ、配膳や後片付けがスムーズになるほか、軽い食事をとるバースペースとしても活用できます。ただし、壁付けタイプに比べて広い設置スペースが必要になる傾向がある点には注意しましょう。
L型キッチンのメリット

L型キッチンの導入を検討する上で、最も知りたいのがそのメリットだと思います。ここでは、L型キッチンが持つ4つの大きなメリットについて詳しく解説していきます。
作業動線が短く効率的に料理ができる
前述の通り、L型キッチンの最大のメリットは、短い作業動線による効率性の高さです。
シンクで野菜を洗い、作業スペースでカットし、振り返ってコンロで炒める、といった一連の流れを、わずか数歩の移動、あるいは体の向きを変えるだけで完結させることができます。
I型キッチンの場合、シンクとコンロの距離が離れていると横移動が多くなりがちですが、L型キッチンならそのストレスがありません。複数の作業を同時進行(マルチタスク)しやすく、忙しい朝の時間帯や品数多く料理を作る際にも、テキパキと調理を進められるでしょう。
広い作業スペースと収納を確保しやすい
L型キッチンは、I型キッチンに比べてカウンター(天板)の総面積が広くなるため、作業スペースをゆったりと確保しやすいのも大きなメリットです。
L字のコーナー部分も活用すれば、下ごしらえをするスペースと、盛り付けや配膳の準備をするスペースを分けて使うこともできます。コーヒーメーカーやミキサー、オーブントースターといった調理家電を置く場所にも困りにくいでしょう。
さらに、カウンターがL字型であることに伴い、その下部や上部(吊戸棚)の収納スペースもI型キッチンより多く確保できます。調理器具や食器、食品ストックなどをたっぷりと収納したい方にとって、この収納力の高さは魅力的なポイントです。
ダイニングスペースを有効活用できる
特に「壁付けタイプ」のL型キッチンの場合、キッチンスペースがL字型にコンパクトに収まるため、残りのダイニングやリビングの空間を広く、有効に活用できるというメリットもあります。
例えば、I型キッチン+背面収納(カップボード)という配置では、キッチンと収納の間に一定の通路幅が必要となり、キッチンスペース全体でかなりの奥行きを取ってしまいます。一方、L型キッチンを壁のコーナーに沿って設置すれば、ダイニングテーブルやソファなどの家具を置くスペースにゆとりが生まれ、LDK全体のレイアウトの自由度を高めることが可能です。
複数人での調理もしやすい
作業スペースが広く、シンクとコンロが異なる辺に配置されているL型キッチンは、複数人で同時に調理をする際にも便利なレイアウトです。
例えば、一人がシンクで食材を洗い、もう一人がコンロで加熱調理をするといった分担作業が、お互いの動線を妨げることなくスムーズに行えます。I型キッチンのように横一列に並ぶ必要がないため、窮屈さを感じにくいのもメリットです。家族や友人と一緒に料理を楽しみたい、お子様と並んでお菓子作りをしたい、といったニーズにも応えてくれます。
L型キッチンのデメリットや後悔ポイント

多くのメリットが期待できるL型キッチンですが、導入してから「後悔した」という声も聞かれます。L型キッチンへのリフォームを検討されている方は、事前にデメリットや注意点を理解し、対策を考えておくことが大切です。
ここからは、L型キッチンのデメリットや後悔ポイント、考えられる対策について解説していきます。
コーナー部分がデッドスペースになりやすい
L型キッチンの構造上、必ず発生するのがカウンターの「コーナー部分」です。この角の部分は奥行きが深くなるため、奥に置いたものが取り出しにくかったり、手が届きにくかったりして、結果的に「デッドスペース」になってしまいがちです。
<対策>
このコーナー部分をいかに有効活用するかが、L型キッチンを快適に使うための鍵となります。
- 収納の工夫:コーナー専用の回転棚やスライド式(ワゴン式)の収納ユニットを導入し、奥のものを簡単に取り出せるようにする。
- 家電置き場:奥行きを活かし、コーヒーメーカーやミキサー、炊飯器など、頻繁には動かさない調理家電の定位置にする。
- 作業・仮置き:完成した料理の一時置き場や、水切りカゴを置くスペースとして割り切って使う。
I型キッチンより広い設置スペースが必要
L型キッチンは、カウンターが2方向に伸びるため、I型キッチンに比べると設置にある程度のスペース(間口と奥行き)が必要となります。特に、L字の両方の辺の長さを十分に確保しようとすると、想像以上に場所を取る場合があります。
キッチンスペースが限られている場合、無理にL型キッチンを導入すると、かえって作業スペースが狭くなったり、LDK全体が窮屈になったりする可能性もあります。
<対策>
導入前には必ずショールームなどで実物を確認し、必要なスペースや作業時の感覚を掴んでおくことが重要です。間取り図の上だけでなく、実際の動線や冷蔵庫の配置なども考慮して、無理のないサイズ計画を立てましょう。
また、どうしても設置スペースが足りない場合は、I型キッチンも検討してみると良いでしょう。I型キッチンについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
シンクとコンロ間の移動で床が水滴などで汚れやすい
これはL型キッチンに限った話ではありませんが、シンクとコンロが離れた位置にある場合(特にL字の異なる辺にある場合)、シンクで洗った野菜や濡れた調理器具をコンロへ移動させる際に、床に水滴が落ちやすいというデメリットがあります。
また、コンロで使った油で汚れたフライパンなどをシンクに運ぶ際に、油が垂れてしまう可能性も考えられます。
<対策>
対策としては、シンクとコンロの間の床にキッチンマットを敷くのが最も手軽で効果的です。また、移動の際はボウルやザルに入れる、水気をよく切るといった一手間を意識することでも、床の汚れを軽減できます。
本体価格やリフォーム費用が高くなる傾向がある
L型キッチンは、I型キッチンと比較して、カウンターの天板やキャビネット(収納)の部材が多くなるため、本体価格が高くなる傾向があります。特に、デッドスペース対策のためのコーナー収納ユニットなどは、オプション費用がかかることが多いです。
また、リフォームでI型キッチンからL型キッチンに変更する場合、キッチンのレイアウトが大きく変わるため、床や壁の内装工事、給排水管やガス管、電気配線の移設工事なども必要となり、リフォーム費用全体が高額になりやすい点も考慮しておく必要があります。
L型キッチンのリフォーム費用相場について詳しくは、次の項目をご覧ください。
L型キッチンのリフォーム費用相場
L型キッチンのリフォーム費用は、キッチンのグレード(素材や機能)や工事内容によって大きく変動しますが、一般的なリフォーム費用相場は70万円〜200万円程度です。
また、単純に古いL型キッチンを新しいL型キッチンに交換(入れ替え)する場合と、I型からL型へレイアウト変更する場合とでは、後者の方が大幅に費用が高くなるのが一般的です。
L型キッチンリフォームの費用相場について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
熊本でL型キッチンのリフォームなら「アネシスリフォーム」

この記事では、L型キッチンの特徴や、具体的なメリット・デメリットについて詳しく解説してきました。
まとめると、L型キッチンには以下のようなメリットが存在します。
- 作業動線が短く、効率的に料理ができる
- 広い作業スペースと収納を確保しやすい
- ダイニングスペースを有効活用できる(特に壁付け)
- 複数人での調理もしやすい
L型キッチンは、料理好きの方や家族との時間を大切にしたい方にとって、多くのメリットが期待できる魅力的なキッチンです。
一方で、「コーナー部分のデッドスペース」や「設置スペースの確保」、「費用」といった注意点も存在します。これらのデメリットを理解し、ご自身のライフスタイルや間取りに合った工夫を取り入れることで、L型キッチンのメリットを最大限に活かした快適なキッチン空間を実現できるでしょう。
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